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   繊細なジュヴレか、82グランドリュ、もう一回飲ませて!

クロ・ド・ラ・ロシュ&クロ・サン・ドニ

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ワインボトルの写真はそれ自体で一種の芸術品やイコンのように思えるのだが、その神聖性に反するかのようにブランド信仰や見栄の象徴にも陥り易い。

 

さて、お題のワインセミナーでワインの認識に対する定期的なアップデートの必要性を感じた。80年代後半から90年代はブルゴーニュにおけるテクニック時代の大頭の時期である。それをけん引したのは80年代までトップを走っていたジャイエやデュジャックである。その当時や2000年代においてはその輝きはまぶしく映っていたものである。それらと比較される同時期のワインたちはまだ試行錯誤の状況で、それらに追いつくことができないとても不自然なワインたちであった。そして2000年に入りルロワなどに遅れること自然派のワインたちが大頭してきた。しかしながら、それらもルロワと比べ不自然な味のややもすると腐敗したワインであった。そしてそれらに比べてルロワは眩く輝いていた。

そして2010年頃から全体的な水準が上がり、今では醸造に限った世界においては、これまでになかったようなクリーンで繊細な美しい仕上がりになってきていると思う。

2012年をもって、90年代のデュジャックを振り替えてみると、ジャイエと同様にオールドファッションになっているように感じる。またドメーヌルロワの98もややオールドファッションになっている。あと数年すると、90年代のルロワもますますオールドファッションに感じられるのであろう。

 

そうすると、これらの80年代、90年代のデュジャックやルロワなどは、歴史的価値と今の位置を確認するために存在することになる。しかし、そうなると、享楽的に楽しむ方々が今購入して楽しむには、いささか価格と実体がかい離している。享楽的に楽しむのはいささか恥ずかしくあり、歴史的価値を楽しむというある種の能のような世界である。能の席ではしゃぐ人たちはずれている。

では今の2012年のワインがすべていいのだろうか?
先日のロベールシルグで特に感じたことだが、トップキュベ(グランエシェゾー)の造りとその他のキュヴェの造りが異なる。トップキュヴェは濃厚に濃縮され甘く果実豊で力強さがある。下位のキュヴェになればなるほど薄く弱弱しくなる。これはトップキュヴェで評論家の評価を受けて下位のキュヴェで高価多売を目指す商法である。モンジャールも(シルグほどではないが)同じである。

これらに象徴されるように大手資本が購入したドメーヌや新たなグランクリュも投資を回収するため、評論家の評価を受けるべく儲かるキャッチフレーズのつく醸造醸造家により仕上げられる。そうやって不自然に作られたグランクリュは、お世辞にも褒められた味わいではなく、正常な味覚であれば人工的で一杯で飲みたくなくなる味わいである。

 

今は猫も杓子も口を開けば、「ブルゴーニュを選ぶには、まず一に生産者である」という。これはマットクレマーあたりが言い出し、リアルワインガイドやブログ文化や酒屋がたきつけていることでもある。

口ではテロワールとうたいつつ、テロワールはよい生産者でないと表現できないから、生産者で選び、良い生産者ならどこのワインでもいい、広域ブルゴーニュでもいいというロジックなのだと思う。その結果、「クラス越え」などという表現があったりする。このロジックはテロワールだと言っていたのに、いつの間にかすり替えられ、生産者とワインのボリュームという単純化された世界に落ち込んでいる。

消費拡大には都合がいいのかもしれない。

が、ワイン愛好家である、もしくはワイン愛好家になりたいと考えるなら、ワインはやはりテロワールであり、そこを代表する斜面の中腹を飲むことが基本である。そこを代表するのがグランクリュであり、グランクリュを昔ながらの造りをベースにしたワインであるべきである。

 

しかしながら、昨今の高騰したブルゴーニュのグランクリュを投資回収するのに上記のようなビジネスを取っている状況にあり、それは、昔ながらの造りと断絶したテンプレートによる造りで、しかもテロワールを消している。特にシルグなど。シルグのグランエシェゾーは最低作品である。

 

であるため、近年醸造は良くなったものの、グランクリュの価格向上で、入門として飲むべきグランクリュがなくなりまた手の届かないところにいってしまった。

 

今回のセミナーでの田中さんの回答は、地元(フランス)消費のワインを探せとのことで、日本に出回り、重宝されているワインではないということであった。

当面は、昔ながらのロシュで最近リリースのワインをいくつか飲んでみたいと感じさせられた。

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