ブルゴーニュワインの感想 改めて、テーマ見直し中

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地上から悟性により天を目指す  ~ラルロ・ヴォーヌ・ロマネ・スショ

2008 ヴォーヌ・ロマネ 1er レ・スショ ドメーヌ・ド・ラルロ

インポータ:AMZ、購入店舗:内緒(完璧)

 

このスショは2回目で2年ぶりのご対面。前回はあまり理解できなかったが、それはラルロを飲む際に見るポイントを理解できていなかったことと、まだ深く閉じていたことに起因していました。

今回、2年ぶりに飲み、タンニンとカテキンはやや和らぎ、その本性をやや見せ始めています。テクスチャーはタンニンの収斂性に覆われて荒く見えるが、その下にベルベットなものが垣間見える。4時間ほどすると赤しそと赤ベリーにややムスクの香りを見せる。明るく、軽やかで、明瞭な知性的な味わいでありまだその奥に暗さを秘めている。しかし水っぽさも持っており、味わいに隙がある。なお酸は高めで、黒系タンニンがまだ健在である。

あと7年待ったら、その全てを見せるだろう。

 

このスショはリシュブールの下部にある。
そう思うと、この味わいの、厳しさに納得がいく。リシュブールは勘違いされやすいが、険しく厳しいワインであり、あまりヴォーヌ・ロマネらしくない。少なくとも代表するポジションではない。同じように、このスショもヴォーヌ・ロマネを代表するものではない。ここから、ラルロのロマネ・サンヴィヴァンをここから推測することはできない。また、ラルロのニュイ・サン・ジョルジュと比較するとどちらが上か、下かと比較すると、いや比較すること自体異種格闘技戦でもあるが、そこを押して考えてみたい。

 

このワイン・スショは明るく、軽やかで、明瞭な知性的な存在である。ニュイ・サン・ジョルジュ南部(クロドラルロまで南にいってしまってはいけない!!)が地上的で地の個性を強く出し、より滑らかなテスクチャに個性を発揮するとしたら、こちらのスショはテクスチャはそっちのけで明瞭な知性により上方を挑む。

ロシュが霊性で天を表現するなら、こちらのスショは知性で天を目指す。スショは地上から天を目指している。

地上性を尊重し、滑らかでゴージャスなテクスチャを表現する、ニュイ・サン・ジョルジュ南部(フォレサンジョルジュより南のプレモーではない!!)。

地上より悟性により天をめざす、ラルロのスショ。

霊性より天を表現するロシュ。

そのポジションは現代の人間と被る。そういう意味で我々にお似合いであったりはする。

 

補足1:

醸造の変化・ヴィンテージキャラクターについて

明らかなことなので放置しようと思いましたが、追記します。

やはり11年以降の除梗するスタイルとは違い、タンニンが多く・そして硬く感じます。そこにはタンニンに対するとらえ方が異なっているので、面白いところではあります。どちらがヴォーヌ・ロマネらしいかと言われると、ヴォーヌ・ロマネにタンニンは不要な気もするので、11年以降のスタイルのほうが早飲みとしては正しいのでしょう。ただ熟成させたのちのことを考えると、「持つ」という意味合いよりタンニンが氷解した後に追加される個性が面白いとも思うので、悩ましいです。では、どちらを選べといわれたら、除梗しないスタイルがラルロらしいと思うのでこちらを選びたいです。そして個人的には10年が好きです。

08年はやや酸っぱくタンニンが硬く、果実は優先されていません。
なにをもって良い/悪いというか微妙ですが、比較的スタンダードな年で、派手さはないと言えるように思います。奥ゆかしくていいのではないでしょうか。

 

補足2:

ラルロのヴォーヌロマネが売られていますが、このワインを矮小化したもので、切なくなってきます。完全に価格負けしています。ある意味、ヴォーヌロマネの妄想を打ち砕く、いいワインです。