ブルゴーニュワインの感想 改めて、テーマ見直し中

     このブログと私は行き先不明です

シャルドネが好きなんですが、飲みたいものが市場にありません。

 3か月前ほどに64シャブリ・グルヌイユ・ドメーヌテツ(正しくは違う発音なのですが・・・)を飲んで、感銘を受けました。あれからシャブリ古酒を見ています。

その後、96のワイン会に行き、酸の豊かなヴィンテージの良さと、シャルドネの相性を改めて感心し、96をもっと増やしたいと思いました。

 しかし、ここ数年で、90年代の古酒はほとんど市場からはけてしまっています。残っていたとしても高価になっており、正直価格に見合いません。またルフレーヴがなくなってからというもの、ルフレーヴが高騰し、つられてほかの白も高騰している感があります。ルフレーヴが存命中、日本はルフレーヴが他国と比べて市場に余っていて、高騰していないと言われていました。それが、お亡くなりになると、このありさまです。全く、日本の消費者というのは価値を人に決めてもらうか、市場に決めてもらわないとわからない傾向があるようです。ルフレーヴのワインなど、本数がそれほどあるわけでもないので、結局「マニア」と自称する人々も人に価値を決めてもらわないと価値を判断できない人が大半のようです。

なんで今更高騰するのか、意味が分かりません。
本当に白ワインが好きだったのでしょうか?とあるショップのサイトを見ていたら、「ソゼをあまり飲んだことが無い人も多いかと思います」と書いていました。ソゼに基本を教えてもらうのがまず第一歩と思っているのですが、何をいっているのでしょうか?

という愚痴はさておき、とことん、古いものがありません。
白というのは、今の2016年時点で、リリース直後の13年を飲んでも全く美味しくありません。またお化粧が厚く、本質が分かりません。そして、2000~2009あたりを飲んでもピンと来ないというか、まだ早く、90年代になると、やっと化粧が落ちて飲んでいい状況に入ってきます。それは飲みごろといういみではありません。意外に、赤のほうがリリース直後に地がわかるように思います。また個人的には、白のほうが、赤より「持つ」ような気がしています。赤は不衛生なフレーヴァが目立つことが多い傾向にあるように思います。

けれど、2000年代以前の白は枯渇しています。

 

そこで、シャブリです。

シャブリは探すと、案外90年代はあります。(ネットにはありません) また、ラヴノーとドーヴィサに人気が集中しており、ほかの生産者は値段が穏当です。この前96の会で、ヴォルネイを主とする生産者が作ったあまり気合の入っていないムルソーペリエールを飲んで思ったのですが、結局素性のいい畑であれば、誰が作っても美味しい、それがAOCシステムの真骨頂です。案外肩に力を入れず作ったほうがいいものができることもあります。AOCより生産者が大事なんていうのはパーカー由来のメッセージですが、先ほどのようなものにたびたび出会うと、例外は多々あるということがわかりますし、AOCというものが良くできているとも感じ入ります。

先日、シャブリの93グルヌイユ(特級)・シャブリジェンヌを飲みました。3か月前の64と比べると「熱が奥にこもった個性」「芯の強さ」を有しており、こなれているか否か、実体が消えているか否かの差があるだけに感じます。そこには生産者の個性の差を感じさせません。結局、20年経過したのちに、高原状態に入り、そこから30年高原状態が続くとも考えられます。

また、今、ジャンコレのモンドミュリュー1er・95を飲んでいますが、明らかに、特級に対して、充実感が欠如していることを感じます。また、モンドミリューの土地柄、シャブリとしては緩いワインになる傾向があり、やはり良いと思いません。今時点で飲んでいても、これ以上引っ張っても酸がこれより落ちると厳しいと思わせます。でも、これが6500円ならまあいいか、ということで許せます。

そのようにワインは、20年たつと、AOCの格の差が如実にでます。
そういうものを見ると、AOCというものはさすがだな、普遍性をもっているな、と思います。AOC越えなどという表現を使う人もいますが、AOCを超えたものというのは、あったとしても、生産者が格落ちさせたクリュや、表土を変えてAOCからお沙汰を下されたフォラティールで、生産者のスキルでAOCを超えることはないと思います。「声の大きいワイン」「派手なワイン」「飲みやすいワイン」「濃いワイン」などを良いワインとするなら、これらは成り立ちますが、それがブルゴーニュAOCの意図ではないので成り立ちません。

 

また、赤のスティルワインでブルゴーニュにおいては、ボーヌではなく、ニュイが評価を高く上げています。しかし、本来であれば、北に行けば行くほど、黒葡萄を作りにくくなるわけで、「北限の地こそ最良のワインが生まれる」と信じるものにとっては、ボーヌより良い産地があるはずであると考えるのが妥当に思います。だとすれば、シャンパーニュかシャブリが白の最上位産地の可能性があるはずなのですが、シャンパーニュはブランドに邁進し、堕落している(と自分は思っているが、田中さんは最近は素晴らしい生産者が出ていると言われている)ので、あまり興味がわかず、当面はシャブリが最有力ではないかと思います。

脱線しますが、どうもシャンパーニュは薄い、すなわち収量が多すぎるのか、ワインとして個性が脆弱で、土地由来の味わいを感じたとしても、”冷たく”てあまり好きになれません。今のところ、シャンパーニュには用はありません。

 改めてルフレーヴの高騰を考えると、投機による高騰が半分、しょうがなく買ったのが25%、便乗して値上げした酒屋が25%と考えると納得がいく。愛好家が悪いのではなく、流通と情報が発達したこの社会の仕組み故に発生する高騰であったと思う。

そう考えると、誰が悪いということでもないといえる。