ペルナンヴェルジュレスの会を邂逅する
ペルナンヴェルジュレス
ペルナンヴェルジュレスをイメージはできているつもりであったものの、西側斜面、中央部、コルトン側での違いを確認したかった。
西部斜面のアンカラドゥー2015年は石灰岩土壌で粘土質な土壌が少なく、故にボディが欠如していた。タンニンが未成熟であり、講師や他の方にはエレガントでないという評価がくだされていたが、タンニンの未熟なところを除けば、コトーシャンプノワに似ており、実態感がなく消えそうなスタイルはエレガントである。
こういうワインは、タンニンさえ上手く処理すればいいはずなので、
・抽出を優しくする
・タンニンを完熟させる
・徐梗する
・ロゼにする
など工夫の余地がある。
ワイン自体に芯もないため、ロゼのスパークリングにすればいいと思う。
決して偉大なワインにはならないものの、コートドールでも唯一無二のキャラクターを備えることができていいと思う。
アンカラドゥーの白においては、新世界的な味わいで、引っかかるところがなく、とらえどころがない、どこか目立つ個性もない、不定形な味わいになっている。
目立つ個性がない分、長々と飲んでいても飽きがこず、都度あたらしい発見がある。また14年の白と比べると、補糖を不要としたぶどう由来の素朴なアルコール感も好感がもてる。
一言で言えば非常に素朴なお酒である。
常々、ワインは素朴であってほしいと願っている身としては、アンカラドゥー2015の白は最上である。
このことから思うに、ブルゴーニュにおいて、石灰岩斜面ではピノノワールかシャルドネかと、補糖についてもう一度考えてみたい。
石灰岩斜面ではピノノワールかシャルドネかという議論においては、かのラヴァル博士が提唱した粘土はシャルドネ説を持ち出されるが、アンカラドゥーを取ってみると、シャルドネの方が単純に美味い。ピノ・ノワールはタンニンの問題があり、難しい。
では単純にシャルドネが美味いから、ピノ・ノワールがダメかというと、シャルドネは新世界っぽく、この地を表現しきれていない。
やはり、ピノ・ノワールはシャルドネ以上にその土地を反映する品種であるように思う。ピノ・ノワールにすべきかシャルドネにするべきかは、その土壌を前面に出す価値があるか否かの主観に委ねられる。
ワインをその地を表すもので、美味かろうがまずかろうがそれは二の次であり、土地を理解するためのものであるととらえるのであれば、この地ではピノ・ノワールを植えるべきであると考えた方がいい。
美味さを主眼に置くのであれば、ピノ・ノワール単一ではなく、色々な品種でカバーし、ブレンドすべきなのであろう。もしくは、単純にシャルドネにしてしまうというのも手である。
ピノ・ノワールは、優れた土地であれば、石灰岩土壌であれ、粘土質土壌であれ、どちらでも素晴らしいワインを作り出す。シャルドネはテロワールを隠しどちらでもそこそこのワインを作り出すことができる。
そういうことではないだろうか?
また2番目の補糖の有無なのだが、ほんとうにそうなのだろうか?
ちょっと疑問である。
14年の補糖感、15年の伸びやかさはひていしない。その通りだと思う。ただ、それが、本当に補糖だけなのだろうか?
というのもシャンパーニュを思い返してみると、二次発酵の際にテラージュとしてショ糖をいれているではないか。であれば、シャンパーニュは皆、砂糖由来のアルコール臭く、飲めないものになっているのではないか?
違いはなんなのかというと、瓶熟期間の長さなのではないか?ショ糖由来のアルコール感も瓶熟で飛ぶのではないのか、そんなことを思ったりする。
しかしながら、この前のんだデュジャック94クロサンドニや10年?ロマネサンヴィヴァン
など醸造アルコール感があった。熟成してもだめなのかな・・・。
なお、今飲んでいる14年のRシヴィヨン・ニュイサンジョルジュ・1erペリエールなど、醸造アルコール感が半端ない。ヤバイ。