ブルゴーニュワインの感想 改めて、テーマ見直し中

     このブログと私は行き先不明です

ヴォーヌロマネ1級(完)

この前頂いたヴォーヌロマネ1級を味わいを整理するにあたり、場所のグルーピングが有益と思っています。標高の上下は、香り・ボディ・余韻などの強弱の差に反映される傾向があり、個性は共通ではないだろうかと思っています。なお崩落土のことを考えると、 地層は異なるだろうが下部は上部を包含するような気もします。ただ、必ずしも上に行けば行くほど繊細というわけではない点はワインを選ぶ際に注意する必要がありそうです。

A)西部
 ヴォーヌロマネ1級 クロ・デ・レア(ミッシェル・グロ2008)
 ヴォーヌロマネ1級レ・ショーム(コオンフェロン・ジャンドル2007)

ボディをショームが担当し、レアは構造を担当。どちらも香りは高くない。
レアのほうが知的でスマートであるのに対して、ショームはファットでドンくさく粘着性がある。
だからといってレアが上とは思わない。ショームは時間とともに深さをまし、
「酸化しても美味しい」味になってくれた。レアはそのまま収束していった。
ヴォーヌロマネが複雑さこそが最大の個性と思うなら、ショームを評価したいし、
ショームのスタイルに好感とポテンシャルを感じる。

なお、ショームとレアはあまり標高は変わらず、左右にならんでいる。
厳密には、ショームの一部がレアより高くなっており、高い部分はRSVと同じ標高にあり、
RSVの上部には牡蠣殻の堆積した泥灰岩 (バジョース階上部) がある。このショームが
その層にあるかもしれないし、そうでないかもしれない。こうやって、土壌でアプローチ
しようとしても大概は情報が足りない。

このショームの個性はRSVの個性ではない。ゆえに 牡蠣殻の堆積した泥灰岩は無いの
ではないような気もするが、そうでもないような気もする。
というのもこのショームに感じる粘着性は、特級が持つ個性に通じるものであり、
であるなら、牡蠣柄の堆積した泥灰岩ではないのだろうか。

今回、どれが最も優れていたか?と問われると、
自分はこのショームではないかと感じる。
香りは伸びないが、その奥に潜む偉大さがある。
・・・というとほめすぎか。

 

B)西側グランクリュ上部 

 ヴォーヌロマネ1級レ・プティ・モン(ヴェロニク・ドルーアン2007)
 ヴォーヌロマネ1級オー・レイニョ(コント・リジェ・ベレール2007)
 ヴォーヌロマネ1級レ・ゴーディショ(フォレイ2010)
 ヴォーヌロマネ1級クロ・パラントゥー(エマニュエル・ルジェ2005)

 

さて、ゴーディショが含んだ点に、補足させてください。
ゴーディショは3箇所に分かれる。
ひとつはラターシュの上部。
ひとつはマルコンソールとラターシュの間。
ひとつはグランドリュの一部。
最後のケースは無いため、ラターシュの上部か、左側が残る。

今回のゴーディショをブラインドではクロパラントゥーと思った。
ゆえに、今回のものはラターシュ上部のゴーディショの割合が多いのではないかと
考え本カテゴリーに入れた。

大きくまとめると、これらは同じポテンシャルといっていいと思う。
ストラクチャーや余韻が基本的には同じで、香りの表現が異なる。
香りの表現はポテンシャルとは関係ない。
クロパラはちょっとかわいそうで、イマイチぱっとしなかった。
若い頃のクロパラの赤果実の華やかさが無かった。
それも良く考えると、2005年であるため、閉じている時期だったように思う。
なお、クロパラを帰りがけに最後飲んだところ、少し開いていた。侮れないと思う。
(まあ、侮っている人はいないと思いますが。)

 

レイニョは無口で、華やかさも個性も、将来性も無かった。ボリュームは少しあった。
よく絞ったのだろうか。あまり興味がわかない一品である。誰か別の人に作って欲しい。

プティ・モンは、アタックやボディや余韻や、ストラクチャーや、リッチな味わいなどはなく、
このラインナップの中では2番目にスケールの小さいものである。(ルージュが最小スケール)
 しかしながら、そこには、他のワインには無い、「中心線」があり、そして内部に向う
集中力を有している。それは明らかに特級にしかない、特徴であった。
この中心線をヴォーヌロマネらしさというなら、このなかではプティモンがもっともらしい。
即ち、プティモンは、特級のリッチさや構造や余韻などを全て取っ払い、中心部だけ
残したものである。最近、ワインにボディやリッチさは、あってもいいが、それが最も求める
ものではなくそれ以外ではないか・・・、という自分の中の問いに対するひとつの回答のように
思った。当然ながら、多分あまり持たない。

なお、ブラインドでは、 ラロマネに近似したニアンスを感じ、ラロマネの上の畑と思った。
自分はレイニョを飲んだことは無いため、レイニョと思った。

友人からは、持ち寄りワイン会にこのプティモンをもって行くと、がっかりされるワインらしい。

この会でも、プティモンは人気のないワインであった。

 

C)中央部

 ヴォーヌロマネ1級レ・スーショ(シャンタル・レスキュール2008) 
 ヴォーヌロマネ1級レ・ボーモン(モーリス・シュヴァリエ2003)

ボーモンは、腐敗したニアンスがあり、評価不能。
ただし、香りを見ず、味わいのみに着目すれば、良い区画と思わせる、バランスがある。

スショは、香りは立たないが、ストラクチャ・ボディ・余韻がリッチでありかつ、バランスが
取れていた。またテクスチャもこのラインナップでは秀逸であった。酸が低くても美味しい
を地で行くワイン。そういった意味でもヴォーヌロマネらしい。
ただ特別なものを感じないのはなぜだろうか。
また時間がたつにつれ、印象も薄まる。
器用貧乏な区画なのだろうか。

 

D)東側上部

 ヴォーヌロマネ1級レ・ルージュ・デュ・ドゥシュ (ロブロ・マルシャン2008年)

抜けのよさはピカイチで、砂地のような軽やかさがある。単純で奥が無い。
単純であることでエレガントと誤解されるものである。

 

 

総括

ヴォーヌロマネ1級はやはりヴォーヌロマネを代表するワインではなかった。
それぞれはヴォーヌロマネらしさのひとつの断片であり、それ単体で飲んでも
ヴォーヌロマネが見えてこない。むしろ誤解を与えそうだ。
ヴォーヌロマネの特級を把握し、その上で、好きな特性を楽しむことを
目的にするといい畑として使うといいかもしれない。

 

蛇足

よくあるブルゴーニュの選び方で、生産者>畑>ヴィンテージという考え方がある。
自分もそう考えていた。
今回、畑>>生産者>ヴィンテージでもいいのかもしれないと思った。
よく言われる「良い生産者」というのは、DRC、ルーミエ、ルジェ、ルソー、デュジャック等々、
生産者味であり、畑の個性を消しているのではないだろうかという疑念を改めて感じた。
テクニックを駆使できるほどのスキルが無い生産者がいいのかもしれない。
いろいろな反論がありそうであるし、検証も必要である。
もう少し考えたい。