ブルゴーニュワインの感想 改めて、テーマ見直し中

     このブログと私は行き先不明です

シャサーニュプルミエクリュ赤

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葡萄品種というのは、その土地の一辺を切り取り表現するものである。その全てを表現する品種があるなら理想的なのかもしれないが、そうでないかもしれない。我々の趣味嗜好は音の強弱をコントロールして人為的に好きなメロディを作るように、ワインでも同じことを行う。

しかし、どのカットであってそれはテロワールを切り取ったものであり、それは理解の一助となるものです。ゆえに、ひとつの区画を複数の品種ごとに味わうことは、その区画を理解するのに深まる助けになります。なお、それは混植混醸することを奨励しているわけではありません。(また否定しているわけでもありません。)

 

シャサーニュの白に感じる自分の印象は、酸が低く、下方に引っ張られる鉄などのミネラルに支配される個性をもっており、上部の畑が良いと思います。ピュリニーよりになればピュリニーの個性に引っ張られ、透明感がでてきます。中央部にいくとエネルギー感が出てきます。南部は経験があまりないので、分かりません。(下部のモルジョはドンくさい代表です。)

 

近年シャサーニュの赤は醸造が改善され、これまでの美味しくない味から改善されたとのことで、次を試す機会を頂きました。

 

1.シャサーニュモンラッシェ1級モルジョ・クロ・ピトワ 2011 ロジェ・ベラン

サービス当初は甘さ、チョコ、チェリーが目立ち、タニックで刺激的、アフターは長い。
多くの要素を持ちながらも、混沌としていた。しかし時間とともに、混沌さは交通整理され、甘さ以外の要素とバランスがとられていった。
それは指揮者により音が束ねられ、メロディを作られていったかのようである。

精神性を感じさせる一品である。
ただ、グランクリュには届かない、凄みがない。

2.シャサーニュモンラッシェ1級ブードリオット 2011 ラモネ

サービス当初は1と印象がにているが、やや小さく纏まった感じ。やはり甘い。
その後、ミネラル(灰)の香が支配し、味わいは甘さが抑えられ、単純化されシンプルに。
偉大なワインではないが、強烈な灰の香りは印象的。

3.シャサーニュモンラッシェ1級クロ・ド・ラ・ブードリオット 2011 ラモネ

こちらはスケール感が少なく、味わいも単純である。
その分美しいが、時間とともに、早く終焉を迎える。
1,2が姿形を変え、表現されるのに対し、こちらは同じ姿形である。

この区画は2と同一のクリマであり、その中のクロである。クロというと、クロドベーズに代表されて良いイメージがあるが、このワインは、クロなしの区画に劣る。そもそも狭いというのは良くないことなのかもしれない。ネガティブな例として、ムルソー・クロ・デ・ペリエールなども思い出した。


4.シャサーニュモンラッシェ1級モルジョ・レ・フェランド 2010 ジャン・マルク・ピヨ

ブードリットの上部の区画。
ふんわり感はなかなかのものであるが、味わいの広がりが風船のようで、中身と集中力がない。それは薄いという意味ではなく、液体の色は濃いし、味わいも比較的濃い。新世界的な要素とブルのクラッシックな要素をブレンドした新しい感じとでもいうか。

飲みやすいのが売りのワインである。

5.シャサーニュモンラッシェ1級レ・マシェレル 2010 ジャン・マルク・ピヨ

本日でもっともピュリニーよりの一本。
本日Tさんは、ワインを動的な視点とスケール感から捉えられていたが、
そういう視点からでは、このワインは最もレベルが低い。
小さく固まり、後方にも前方にも広がらない。動きがない。
また味わいも単調である。

しかし、他にない透明感と清涼感は評価に値し、1~8の他の銘柄にはない。
生産者は多分それを分かっていて、あえて抽出を薄く作っているようである。
個人的にはこういうワインが好きである。

ただ当然偉大さはないし、精神性もない。

6.シャサーニュモンラッシェ1級クロ・サン・ジャン 2010 ジャン・マルク・ピヨ

以前、ラモネのシャサーニュ・ショーメ白をを褒めたら、お怒りの返事を頂いてしまった。
その際に、クロサンジャンの赤を飲めと言われていました。別に敬遠していたわけではないが、誰もワイン会で出してくれなかったため、今まで遭遇しなかった一品。どうしても飲みたいと思ったこともないし、一本買いたいとも思わせなかったが・・・

味わいは多様であるものの、サービス直後も、時間が経過した後も、味わいに統一感がない。
それは、酸の低さ・質にあるのかもしれない。
故に、ここには指揮者がおらず、各要素が勝手に音楽をならしている状態で終了した。
指揮者が加われば、良いワインに化けるかもしれない。そうでなければ、ただのノイジーなワインである。
これは現状評価なので、もしかすると、熟成により隠れていた酸が現われ、全体を統括し、未知なる高みに上げるのかもしれないが、現時点では感じられない。(実際にそういうこともままあるので油断大敵である。)
ただ、これを一本欲しいと思わない。けれど、またどこかで会えたら、飲んでみたい。

7.シャサーニュモンラッシェ1級ラ・マルトロワ 2009 ヴァンサン・ジラルダン

このワインは過去のつくりのままのもので、衛生的でない、良くある典型的なシャサーニュ赤。ブレット。自分は、こんなワインをシャサーニュのイメージで持っていました。

8.シャサーニュモンラッシェ1級クロ・サン・ジャン 2003 ミシェル・ニーヨン

6と同じ区画。
6との共通点は、味わいの多様さ、酸のあり方。
これと同じ多様性を持つものは、1と6。
しかし1にある酸がこのワインになく、6と同じ低調な酸。

03に見られた甘さが引き、当初の印象より酸が現れている点が印象的であった。


総括

甘く、果実豊かで、濃厚で、シンプルであり、緊張感が無く、ストラクチャーが大きく、スケール感がある。ボルドー右岸を思い出す。ブルゴーニュより南側の区画を連想させる。(あまり経験が無いが・・・) もし、これらを自分が作るなら、早摘みにして抽出を弱くしたい。そうしたら、酸の低さと甘さを何とかできると思う。
そして、1の モルジョ・クロ・ピトワ のみが貴族的な味わいであり、それ以外は庶民的な味わいで緊張感が無かった。

そして、シャサーニュがシャルドネによって表現されるのは、その酸の低さを補うという意思を感じた。これはこれで正解であるとおもう。願わくば、一度シャサーニュで赤を作るべき場所と白を作る場所を線引きし、適正な耕作を行って欲しい。

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