ブルゴーニュワインの感想 改めて、テーマ見直し中

     このブログと私は行き先不明です

クレールダウを飲みつく

1959 クロ・ヴージョ クレーユ・ダウ
1974 シャンボール・ミュジニー クレーユ・ダウ
1975 サヴィニー・レ・ボーヌ ラ・ドミノード クレーユ・ダウ
1982 シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ クレーユ・ダウ
1994 ムルソー ジュヌヴリエール シャルル・エ・レミ・ジョバール
1964 モエ・エ・シャンドン キュヴェ・ドン・ペリニヨン
1953 ボンヌ・マール クレーユ・ダウ
2005 モレ・サン・ドニ ブラン アン・ラ・リュー・ド・ヴェルジィ ブリュノ・クレール
1996 ピュリニー・モンラッシェ レ・ルフェール エチエンヌ・ソゼ
NV  クリュッグ グランキュヴェ

前回、自宅のみしたときのダウの評価は、珍品としていました。
珍しさと知名度が先行し、ワイン自体の品質は良くない、
もっというと、不衛生な香りが支配的であり、品質がよくない。
そう判断していました。

が、なんども飲むと当たりがあるのがブルゴーニュであり、そう思っても再度挑戦することにしました。特に、不衛生な香りが良くないというのも、それに何度あたったとしても、次は辺りかもしれない、そういうことが多々あります。そしてあたったときの偉大さは想像を大きく上回るものであったりします。そういうことで、こりもせず、検証しにいってきました。


結論から言うと、50年代のダウ、ヤバイ。類似した世界観を自分は知りませんでした。DRCとは方向性が異なりますが、ダウの作った今は無き方向性も貴重なものであったと認識しました。それはきっと、80年代や70年代からは得られない世界観です。前置きが長くなりました。

1982 シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ クレーユ・ダウ

若干、生臭くも、白いミネラルが全体を甲殻のように覆い凛としている。中心には黒いタンニンの軸があり、余韻へつながる。余韻は下方に沈み込むように表現され、深く重く、エレガントである。相応の熟成感。
時間とともに、生臭さは消え、チャーミングで、美しい余韻だけが残る。

まとめると・・・
エレガントなヴィンテージの特徴、
ベーズの沈み込むニアンス、
ダウの軽い生臭いミネラル
が合わさり成り立っている。これまでのイメージのとおりのダユ。

1974 シャンボール・ミュジニー クレーユ・ダウ

軽いふわっとした香りのニアンス、ドライフラワー、香木、白いミネラル。
果実はほとんど感じさせずドライであり、凝縮感は無くさっぱりしているものの、熟成が進んでおり、深みをましており、深遠である。
味わいは良くできた村名の品質程度であるものの、香りだけで人を圧倒する力があり、ベーズよりもサビニーよりも、すばらしい。シャンボル好きであれば、最上ともいえる。

まとめると・・・
水っぽいヴィンテージの特徴、
シャンボルの硬質な白いミネラルと立ち上る枯れた花(ちょっと生っぽい)、
ダウの生臭いミネラルはほとんど抑えられている
であり、以前飲んだ、74ルーミエ レザに近い印象。

1953 ボンヌ・マール クレーユ・ダウ

こげたニアンス、カラメル、香木。別の表現をするなら、黒蜜きなこと葛餅。
枯れたニアンスが上のものに加わり、生臭さは抑えられ、恐ろしくエレガント。ゆがみの無い球体感があり、枯れていつつも弾力性に富む。ボンヌマールをもって、ベーズやシャンボルがゆがんでいたことを理解させられる。DRCの熟成がウィスキーのような蒸留酒の方向性であるならば、こちらはあくまでもワインの範疇にとどまり生っぽさをもち、なまめかしく妖艶。そう、妖艶という表現が的確なワイン。怪しく、生気を纏いつつもこの世のものの雰囲気を持っていない。またDRCにはないチャーミングさをもち、熟成しているにも拘らず、人にたとえるなら、15、6才の少女のよう。それなのに熟成香が両立している。

もはや生産者の思惑、こう作りたい、という思いや想像の範囲をこえ、到ってしまった領域。そこに到ったときの品質こそ、人の心をふるわせる。神品。

まとめると・・・
ドライなニアンス、
球体的なバランス、
妖艶であり、少女のようでもある雰囲気。明るい雰囲気であるが、奥が見えない。

1959 クロ・ヴージョ クレーユ・ダウ

順番的には、53のボンヌマールが先立ったのですが、この59で閉めるのが良いとおもい、順番をかえました。

液体の色からして、透明感があり、若く溌剌としている。酸化劣化は見られない。(状態が良すぎる。)
熟成感は感じるが、若くて単純、そう思わせる。
時間が経過してもあまり変化が無く、みなが飲み終わる・・・。

そうして時間がすぎると、このワインはゆっくりと目覚め、純粋なストロベリーの香りを放ちだす。そこには生臭さは一切無く、他の熟成香も控える。その後、レモンの香りが加わり・・・、時間がサービスされてから2.5時間ほどたちタイムアップ。まだ全貌を見せず、ふもとを垣間見せた程度。

まだ飲み頃には早すぎたようである。59なのに。53年ほど経過しているのに。
完璧に評価不能であり、偉大である。これから見ると、74,75,82は不完全。ダウを知るには、50年代か・・・しかしながらそれはもはや再会することもできない世界にある。垣間見れただけでも今までワインを、ブルゴーニュを追い続けた価値があったと思わさせられた。