ブルゴーニュワインの感想 改めて、テーマ見直し中

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真珠について

2010 Vosne Romanee 1er Cru Les Chaumes Domaine Francois Lamarche

インポータ:エクセラ、販売:WineNavi

 

12/29の帰省直前1時間前に抜栓しました。
つがれた一杯は深みがありつつ儚げで、儚げでありつつ実はタンニンがしっかりしていて、タンニンがしっかりしつつ女性的。粘土の中をかき分けるかのような感覚で味わいがあり、その実は粘土ではなくキラキラ光る宝石のよう。味わいも深みから軽やかさへとグラデーションとなっている。一言でいうなら、魔法のような世界観。
そして、これを1時間で飲み干すことはもったいなく、栓をしてセラーに戻し帰省しました。

そして先日から飲んでいるのですが、酸化しているため味わいには濁りが見えます。ですがその奥には、思いの外深みと柔らかさが残っており、健全であれば・・・という状況を想像して楽しむことができました。ここにない美を想像するというのも面白いです。

Vosne‐Romaneeというのは、自然の美というよりも、どこか人工による造形美を感じます。話は飛びますが、ラドワ・ビュッソン(シルグ)のワインは美味しいのですが、あれはダメです。あれはVosne‐Romaneeを作りたいのに土地がないために、ラドワでVosne‐Romaneeの造りで創っているためです。北のフランスに対する南仏のような位置づけです。それではLadoixになりません。いつまでたっても劣化コピーでしかありません。Vosne‐Romaneeは今の主流のBourgogneのメインであり、ある意味他の村はVosne‐Romaneeの劣化コピーという見方もできると思います。


そして何より人々の憧れや歴史に裏打ちされる栄華をワインの味わいに乗せているようです。Vosne‐Romaneeは”自然”ではなく、都会の気分で作られていると思います。それは、ある種、特殊な村といえます。Vosne‐Romaneeは正月やめでたい日に似合います。

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ところで、幻の桜さんが「恋の力がみんなに力を一極集中させるシステムを作り序列を作った」ということをいわれていました。

”恋の妄想から集合体が生まれて 
何もしてくれない人が
富を強奪するようになった” (幻の桜 恋と食の戦い)

コートドニュイの真珠に例えられるVosne‐RomaneeはAOCの序列の頂点に立つ「アイドル」のような存在です。この村に引っ張られるようにしてBourgogneは栄え、他の地よりお金や人気を集めているといってもいいと思います。

BourgogneのAOCに意味があるとは、ジュラ紀の地層を評価し、個性を分類してくれていることだと思っています。堆積土壌ではなく法外に高くない1級に、探求者はまず軸を置くことが基本だと思います。その上で、堆積土壌が良かった、という結論を出すのが一つの道筋とも思います。とはいえ、いきなり答えに行く力を人間は有しているので、その限りではないのかもしれません。