ブルゴーニュワインの感想 改めて、テーマ見直し中

     このブログと私は行き先不明です

溶け合う世界

★・・・・・工業製品ワイン

★★・・・・普通のワイン

★★★・・・きらりと輝くところが1つあるワイン

★★★★・・〃         2つあるワイン

★★★★★・スペシャルなワイン

 

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2004 ジャッキートルショ― シャンボール・ミュジニー レ・サンティエ

グラスに注がれると溢れる香りの世界。★★★★★

様々な味わいが香りに昇華し、香り8、味わい2で、香り主体の構成。

リリース直後のチャーミングな赤いベリー主体の直線的なスタイルから、
銅やリキュールを加え、バックに高い酸ときれいなタンニンが共存し、
妖艶さと爽やかさ、円熟と幼さを兼ね備えた、稀有な存在。

味わいはベリーの後に酸があたり、最初のインパクトが心地よく、それが香りに昇華していく。

そのあと、消えゆくように感じられるが、心を落ち着け向かい合うと、ワインによって後方へ引っ張られるような感触がつづき、甘い味わいが細く長く続く。その引っ張られ感はパワーや果実ではないところが、悶絶するポイントとなる。これが薄いワインであることが素晴らしい。

また時には後方ではなく、下方に伸びるような余韻を感じさせる時もあり、万華鏡のように表情を変えていく。

実体感はないが、粘土質土壌由来と思われる包み込むやさしさを有し、心を溶かす。

 

Rさんいわく1ロットに1本程度ある当たりとのことで、ありがたい。

この思い出を墓場まで持っていこう。

 

 

2009 モレサンドニ クロソルベ ダヴィッドデュヴァン(エノテカ

★★★

やっと飲み頃に差し掛かりつつある印象。
今だ強いものの、リリース当初、全くブルゴーニュらしくなかった記憶が衝撃的であったが、今このボトルはブルゴーニュの味に近づきつつある。

他の生産者を飲んでも09はそろそろという印象がある。
酸は弱く、芯が不足しているのではあるものの、それを補うようにして人好きのする性格でボリューム感とゆったり感がある。ゆったり感などはグランクリュによくみられる個性である。

09の前後5年をみても、これほど外向的で親しみやすい年はないように思う。
あと少しタンニンの修練性が落ち着いたのちには、また一段上るであろうと思われる。現時点ではグラスに注がれる量が多いと香りが強いため黒いベリーが主体となり、その奥にトルショーに似た世界を見ることができる。

 

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グラス比較

・ロブマイヤー グラスⅢ

リーデルヴィノム ブルゴーニュ

・ラディコングラス 写真左から

 

サンティエ、クロソルヴェの両方を比較させていただいた。

短評:

■ラディコングラス:

香りと味の印象が時間によって激しく変わっていく。
香りを保持することが難しい。
また味わいも時間によって変わる。おすすめではない。

■ロブマイヤーグラスⅢ

 味わいの構成要素をデジタルに分解し見せる。ティスティングには適している。一方で官能的な飲み方をするには適していない。なぜかは次に続く。

リーデル ヴィノム

味わいの構成要素が、水彩のにじみ絵のように重なり合う。
例えばサンティエであれば、左のほうからリキュールが広がり、右のほうから赤いベリーが広がりそれが中央で混ざり合い溶け合う。
それが何と何の香りであるか、トルショーまでいくと分析を許さず、ただただ身を任せるしかなく、官能の世界に浸らせる。

これが、09年のソルベだと、にじみ絵にならず、味わいは重っているものの、微妙にたての隙間があり、分析的に見れてしまう。これは、熟成がまだ十分ではないのではないか、熟成することで、その溝が埋められ、にじみ絵の世界に入れるのではないかと思っている。もっと比較してみないといけない。

 

ということで、思いもかけず、リーデルを再評価することになった。