ブルゴーニュワインの感想 改めて、テーマ見直し中

     このブログと私は行き先不明です

Good

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1964 Besserat de Belfon Reserve  ×

酸化している。シャンパーニュにはよくある内容。

 

1940 P.A.Andre Nuits-St.-Georges★★★★★

最初は土臭く籠った香りで味わいも微妙であったが、10分ほどして霧が晴れたようにチャーミングな赤果実の飲み物に変身。すでに殆どタンニンは消えている。全く傷一つなく最高のコンディション。清楚であり処女性を感じさせる。

こういうワインは、少量口に含むと、淡く切ない気持ちにさせられます。

 

1982 Moillard-Grivot Charmes-Chambertin★★★

まだしっかりしたタンニンを感じさせ、20分程度しタンニンがほどけました。さらに時間を置くと獣臭がでてきます。なかなかよいです。

 

その他2品ありますが、ま、上の二つがよく、省略。

ありがとうございました。

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2000 アルマン・ルソー・リュショット・シャンベルタン

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2000 リュショット・シャンベルタン アルマン・ルソー ★★★★

香木、水墨画的。

 

2017年10月26日抜栓なので、収穫から17年の歳月が経過している。

リリース直後はチャーミングでエレガントなルソーが、17年の歳月を経て、果実味を削り、タンニンを丸くしていく。その結果、果実味は主体とならず、骨格が残り、香木と墨の香りが占め、墨の濃淡で描かれる。そして香木の香りの要素が、妖艶さを表現し、水墨画的で朴訥としつつ妖艶というスタイルが出来上がっている。

味わいはうすく、まだ失っていないタンニンが顔をだしつつも、要所要所で甘い味わいと墨のような鉱物感が顔をだす。この甘みが尾を引き、余韻となる。

 

華やかな要素は持ち合わせているものの、内向的な性格である。
シャンベルタンとは対極で、大柄、力強さを語らない。また単純な味わいの構成である。それらの軸から評価すると大したことのないワインともいえる。
一方で、枯れた香木のようなスタイルを良しとするなら、チャレンジする価値はある。

04デュジャック

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デュジャックの04、コンボット(ハーフ)とグリアンシエール(フル)を頂きました。


どちらも以前飲んでおり、記憶にあります。

グリアンシェールはシャンボールを探求する契機になりましたし、コンボットは同ヴィンテージのトルショーシャルムと比べ、ともに近いレベルであった記憶があります。

その後、数年をおき、再度コンボットを頂きました。そのときは香と味わいが弱く、ハーフだからもうだめなのかな、とろびさんと話していました。

そこからまた数年経過しました。


コンボットは深く重さを纏い、赤果実がひそめ、チャーミングなワインから、生まれ変わろうとしているところでした。

リーデルのグラスではその高貴さを表しきれず、ロブマイヤーが必要となっていました。

まだ、この後の伸び代を感じさせました。


グリアンシェールは、コンボットほど重くなく、若い頃に感じさせる、シャンボール特有の硬さが落ち、赤果実中心の可愛らしい味わいを見せていました。

高貴であり遊び心を感じさせるのはコンボットと同じでした。


前回コンボットの不調は、同ロットのため、軽いブショネと結論づけました。


久しぶりにデュジャクがいいと思いました。




ここ最近、ロブマイヤーではなく、リーデルのグラスの良さに目覚めてからというもの、リーデル一辺倒だったのですが、この二本のワインはリーデルではなくロブマイヤーがぴったりでした。ロブマイヤーでいただくと、香りの要素が結合し、より高貴な味わいに昇華します。

リーデルがいい、と思っていたのは、トルショーやジョルジュミュニュレのような農民のワインを飲んでいたからですね。貴族のワインはリーデルでは表現しきれなく、ロブマイヤーを必要としているようです。さすが遊び人、さすが天才。久しぶりにデュジャックが美味しいと思いました。

 

細かいコメントはないわけではないのですが

デュジャックというワインはそうやって四の五のいうことがばかばかしくなるような個性をしていて、美味しいからいいじゃないか、美しいからいいじゃないかというような享楽性の高いスタイルになっておりました。

 

 

99

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1999 リショットシャンベルタン ジョルジュ・ミニュレ ★★★★

興味はなかったものの、抜栓したところ、素晴らしかった。

タンニンはその存在をけとられず、
素朴で清楚でチャーミングな赤果実が主体。
味わいは球体的で、余韻は適度に長い。
そもそもリショットで球体的ということが特筆すべきところである。

標高が高くついつい腰高になりバランスを欠くクリュであるにもかかわらず、ヴィンテージの追い風をうけてか、球体的に仕上がっているのである。
味わいにはストレスを微塵にも感じさせず(幸いにしてコンディションがいい)、
この年の開花の良さや水不足に苦しんだという苦難がなかったことを連想させられる。
95のような年など、飲んでいると苦しみを感じさせるものになる。
そういういみで、99は最高である。

今まさに飲み頃の入り口にこのワインは差し掛かっている。

 

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向き不向き

味覚は弱い感覚だそうです。

 

食べ物の味はほぼ「視覚」で決まる!味覚の割合はたった1%だった… - NAVER まとめ

 

・食事のときに働く五感の割合は視覚がもっとも高く、一説にはその割合は80%から90%にまで及ぶという

・食事の際の五感による知覚の割合はなんと視覚が83%、聴覚が11%、臭覚3.5%で味覚はなんと1.0%

・その証拠に、目隠しをすると食べ物への感覚が鈍ってしまう

・「美味しさ」を感じる要因として、色が大きな割合を占めている

・食の感覚的環境を100%とした場合、料理の割合は5%、食器・カトラリーは25%、残りは周りの環境(景色など)と言われています

・色や盛り付け、環境などの要素も取り入れてみると更に美味しい料理がいただけるかも♪

 

とのこと。

おお、なるほど、全く共感できませんが、「誰と飲むかが重要」「サービスが大事」とかいうのは、味覚が無いからなんですね。

(味覚が無いなら、わざわざあんな高いもの飲まなくてもいいのに。)

 
逆に、味覚が強い人は、視覚的な働きが弱いのかもしれません。どちらが優れた人間というより、能力の偏りという方が正しいかもしれません。だから味が分からなくても全然問題ないですし、むしろ絶対音感があるとか、別の違いが分かりそうです。
(私はまったく、音感が分かりません。リズムもずれます。ああ・・・)
 
不幸なのは、視覚or聴覚に特化したのにもかかわらず、適性のないことに執着することです。いえ、それをやるなというわけではありません。無理にそこで頑張らなくてもいいではありませんか。30にもなれば、大よそ自分の向き不向きは分かるものです。
 
 

ブルゴーニュ赤の古酒が好き

少し気温が下がり、ピノノワールが飲みたくなってきました。

一方でシャンパーニュは少し飲みたくなくなってきました。

夜の道を歩くと、きんもくせいの香りが際立ち、ブルゴーニュ赤の古酒が飲みたくなります。

 

ブルゴーニュ赤の古酒は、酸化していなければ、傷一つなくヨードや鉄の香りが無く、どこまでも清純な味わいという印象、というよりそうであってほしいという想いがあります。

強い年やテクニカルな造りではなく、その反対の古酒、20年以上たったものには、遠くにある夜の金木犀の香り・・・、切なさや憧れや清純さや消失感が入り混じった感情が動かされます。

私はそこに生へのエネルギーではなく、霊的な方向への憧れがあります。

故に、夏には似合わずこれから冬に向けて内に、内に向いていく、この時期があっているのでしょう。それは真冬ではなく、これから冬に転換していく、ジェットコースターでいえばピークから降下していくそんな初動です。

一見弱く薄く、香りもインパクトが無いワインであっても、時に耐え、官能的な世界を見せてくれるそんなワインが好きです。

たまには物申す

ワインファンの方々のみならず、最近では輸入元も揃って東ヨーロッパに目を向けています。①いまどき東ヨーロッパのワインについて知らないと恥ずかしいと思います。JSAの今年のソムリエ試験の内容を見ればわかるとおりです。②今まで主流だったシャンパーニュブルゴーニュの問題などほとんどありませんでした。時代は東欧。いいことです!

上記は尊敬する田中さんの記事から引用させていただきました。

田中さんを貶めるつもりもなく、この考え方に対して、個人的には違うのではないかと、戯言を書かせてもらおうと思います。気になるところにナンバリングさせてもらっています。

 

①いまどき東ヨーロッパのワインについて知らないと恥ずかしい

なぜ恥ずかしいのでしょうか?

無知であることは恥ずかしくないはずなのですが、それが恥ずかしくなるとしたら、それを知らないとワインの本質に至れない、何か大きな欠損があることになる、ということでしょうか?であれば、恥ずかしいかもしれません。

本場のものを知らず、偽物のワインのみで満足する、それは恥ずかしいといえます。

しかしながら、ここでいう恥ずかしいというのは、

「掘りつくされたメジャーになってしまったワインで満足しているのはかっこよくない」

という意識ではないかと思います。

そうであるなら、その恥ずかしい!は相対的な問題で、本質とは異なることであり、別の視点から見ればかっこいいともいえます。

 

文自体がこれ以上のことを書いていただいておらず、また、自分が東欧のワインを飲んだこともないので、続きは東欧のワインを飲んで考えてみるべきと思います。

 

②今まで主流だったシャンパーニュブルゴーニュの問題などほとんどありませんでした。

 

これは問題です。

ソムリエの仕事は店のワインのサービスです。

そんなあるかないかもわからない東欧のワインなどのワインを取り上げ、売り上げの多くを占めるワインのことを問題にしないテストに何の意味があるのでしょうか?問題は人気のあるところを多くだし、ニッチなものは抑えるべきでしょう?

そうやって、テストのためのテストとなっているのであれば、ソムリエ試験自体の目的を見失っているのではないでしょうか?

良く売られているワインは大体みんな知っているから、試験勉強をせずとも通ってしまう、そうするとソムリエ試験の難易度も下がり権威が落ちてしまう、ということなら、迷走しているのです。

 

ソムリエなんて、自分の扱っているワインを徹底的に深堀して、それを客に教えてくれれることがまず第一。その次に今後入荷するべきワインをリサーチして知識を持っているというところでしょうか。店にもなく、入荷することもないものの知識は要らないでしょう。

 

と、素人は思うのです。

もう飲めないワイン

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たまには私のワインを提供。

2004 クロ・ヴージョ ルネアンジェル ★★★

コンディションよく、奇跡の一本といえる。リリース直後、大阪の問屋さんから買った一本で、冬場には東京に持って帰ってきました。

人にワインを提供するとき、コンディションは大丈夫か、非常に気になっています。コンディションが良ければ後はワイン自身の責任で、提供者の責任を終えます。もし、田中さん、平野弥さんにワインを出すのであれば、やはりコンディションに緊張します。ブルっちゃいます。

人にワインを提供するというのはすごいな、とつくづく思います。

 

さて、このヴージョですが、ざらつくタンニンがありテクスチャは美しくない。またぬけの悪さの部分、良い部分を双方兼ねております。一見するとサンジュリアンのようでもあります。

未成熟な果実の青さがあり、そこそこ酸があります。酸は鋭利で透明感があり美しいです。

前述したトルショ04シャンボールサンティエとは違い、ボディと集中力があります。

ワインの造りは古臭く、ワインも田舎臭さがあり、あか抜けていないです。

頑張って美味しいワインを目指した感がなく、あきらめを感じさせます。

しかし、クリーンさがあり、醸造的にNGなものを感じさせません。

 

これを見ると、第一感ではシャルムシャンベルタンで古典的な造りをする生産者のワインと思います。粘土、平地に近い土地の感じ、豊かなボディが無ければモレサンドニの村名格のワインを連想しますが、このボディ感はなかなかない。ジュヴレの1erにもない。と、論理的に詰めていくと、シャルムになってしまいます。

ですが、区画名を見ながら飲むと、グランエシェゾーのニアンス・・・冷たさ・完熟しにくいタンニン・あの斜面の屈折したニアンス、田舎臭さがあり、それとシャンボール・レザムルーズの瑞々しさが混ざり合っています。

 

★3にしました。★4と迷いましたが、2つ突出したところがあるのか?と問われると、ボディと素朴であるところなのですが・・・

 

★・・・・・工業製品ワイン

★★・・・・普通のワイン

★★★・・・きらりと輝くところが1つあるワイン

★★★★・・〃         2つあるワイン

★★★★★・スペシャルなワイン

 

個人的にはこの素朴さが、いまいち素朴に感じられないので突き抜けなく、★4とできません。安定を得るための何らかの犠牲をおこなっているのか、農薬を感じさせるのか、読み取りかねますが、そこも減点している点です。

もう一いき、惜しい。

溶け合う世界

★・・・・・工業製品ワイン

★★・・・・普通のワイン

★★★・・・きらりと輝くところが1つあるワイン

★★★★・・〃         2つあるワイン

★★★★★・スペシャルなワイン

 

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2004 ジャッキートルショ― シャンボール・ミュジニー レ・サンティエ

グラスに注がれると溢れる香りの世界。★★★★★

様々な味わいが香りに昇華し、香り8、味わい2で、香り主体の構成。

リリース直後のチャーミングな赤いベリー主体の直線的なスタイルから、
銅やリキュールを加え、バックに高い酸ときれいなタンニンが共存し、
妖艶さと爽やかさ、円熟と幼さを兼ね備えた、稀有な存在。

味わいはベリーの後に酸があたり、最初のインパクトが心地よく、それが香りに昇華していく。

そのあと、消えゆくように感じられるが、心を落ち着け向かい合うと、ワインによって後方へ引っ張られるような感触がつづき、甘い味わいが細く長く続く。その引っ張られ感はパワーや果実ではないところが、悶絶するポイントとなる。これが薄いワインであることが素晴らしい。

また時には後方ではなく、下方に伸びるような余韻を感じさせる時もあり、万華鏡のように表情を変えていく。

実体感はないが、粘土質土壌由来と思われる包み込むやさしさを有し、心を溶かす。

 

Rさんいわく1ロットに1本程度ある当たりとのことで、ありがたい。

この思い出を墓場まで持っていこう。

 

 

2009 モレサンドニ クロソルベ ダヴィッドデュヴァン(エノテカ

★★★

やっと飲み頃に差し掛かりつつある印象。
今だ強いものの、リリース当初、全くブルゴーニュらしくなかった記憶が衝撃的であったが、今このボトルはブルゴーニュの味に近づきつつある。

他の生産者を飲んでも09はそろそろという印象がある。
酸は弱く、芯が不足しているのではあるものの、それを補うようにして人好きのする性格でボリューム感とゆったり感がある。ゆったり感などはグランクリュによくみられる個性である。

09の前後5年をみても、これほど外向的で親しみやすい年はないように思う。
あと少しタンニンの修練性が落ち着いたのちには、また一段上るであろうと思われる。現時点ではグラスに注がれる量が多いと香りが強いため黒いベリーが主体となり、その奥にトルショーに似た世界を見ることができる。

 

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グラス比較

・ロブマイヤー グラスⅢ

リーデルヴィノム ブルゴーニュ

・ラディコングラス 写真左から

 

サンティエ、クロソルヴェの両方を比較させていただいた。

短評:

■ラディコングラス:

香りと味の印象が時間によって激しく変わっていく。
香りを保持することが難しい。
また味わいも時間によって変わる。おすすめではない。

■ロブマイヤーグラスⅢ

 味わいの構成要素をデジタルに分解し見せる。ティスティングには適している。一方で官能的な飲み方をするには適していない。なぜかは次に続く。

リーデル ヴィノム

味わいの構成要素が、水彩のにじみ絵のように重なり合う。
例えばサンティエであれば、左のほうからリキュールが広がり、右のほうから赤いベリーが広がりそれが中央で混ざり合い溶け合う。
それが何と何の香りであるか、トルショーまでいくと分析を許さず、ただただ身を任せるしかなく、官能の世界に浸らせる。

これが、09年のソルベだと、にじみ絵にならず、味わいは重っているものの、微妙にたての隙間があり、分析的に見れてしまう。これは、熟成がまだ十分ではないのではないか、熟成することで、その溝が埋められ、にじみ絵の世界に入れるのではないかと思っている。もっと比較してみないといけない。

 

ということで、思いもかけず、リーデルを再評価することになった。